肩腱板断裂 肩関節鏡 治療

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武田整形外科 武田 浩志

肩腱板断裂の病態

肩腱板断裂

左の図は肩腱板が断裂したときの状態です。腱板は上腕骨の大結節に付着しており、三角筋と協力して肩を外転する機能があります。より詳細に述べると、腱板は上腕骨頭を臼蓋に対し押し付ける働きがあり、そうすることで上腕骨頭の回転中心が臼蓋から離れないようにします。以下に正常な状態と腱板断裂の状態を示しますので比較してください。


腱板が正常な時の肩の動き

腱板が正常な状態

正常では左の動画で示すように骨頭の上腕骨頭は臼蓋から離れずに動いています。腱板の主な機能は上腕骨頭を臼蓋に押し付ける働きです。


腱板断裂がある時の肩の動き

肩腱板断裂

ところが、腱板断裂があると腱板の機能である上腕骨頭の中心を臼蓋に押し付ける働きがなくなり、上腕骨頭の中心は外転するときに三角筋の作用で上方へずれてしまいます。また、腱板断端は肩峰と大結節の間に挟まれ、大結節も肩峰にぶつかるため痛みを生じます。


関節鏡治療例

肩関節鏡 腱板断裂 肩関節鏡 腱板断裂

これは右肩を後方から見たところです。棘上筋が大結節からはがれていますが、右側の写真で示すとおり、引っ張ると弾力性は良好であり大結節に余裕を持って届きます。 


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腱の弾力性は良好ですのでより強力な固定方法である2重固定を行いました。大結節の内側に1本のアンカー(チタン製のビスのようなもので糸が2本ついています。)を挿入し、外側には2本のアンカーを挿入しました。


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縫合糸を結び棘上筋は大結節に強固に接着されています。2重固定で行ったため棘上筋と大結節の接触面積は広く腱の治癒に有利です。 詳しくは整形外科月刊誌「整形外科最小襲侵ジャーナルNo.44 腱板損傷の最小襲侵手術」2007 9月号 全日本病院出版協会 をご参照ください。鏡視下腱板修復術(特に大広範囲断裂の修復について)について武田医師が詳細について執筆しています。